2013年12月17日火曜日

写真にまつわる本の愉しみ


写真の愉しみは撮るだけとは限らない。 先人の撮った写真を見ることも、写真を愉しむ道の一つだと思う。 今回は、明治後期に日本に来てさまざまな写真を撮りまくった英国人の本を紹介したい。 
ハーバート・G・ポンティング、1870年に英国南イングランドの裕福な銀行家の家庭に生まれた。カレッジを卒業後銀行勤めをするが肌に合わず、4年で辞める。アメリカ西部に憧れ、カリフォルニアに移住、果樹園の経営をするが失敗。 そして、写真家へ転身。
1901年から雑誌社のカメラマンとして日本を何度か訪問。その間、日露戦争の取材で日本軍と行動を共にする。日本滞在中には全国を回り、風俗、芸術、工芸、自然風景など様々な題材を写真に収める。 そして1910年に In Lotus-Land Japan という本を発表する。これは日本滞在記兼写真集といった内容だ。 「英国人写真家の見た明治日本」というタイトルで翻訳書が講談社学術文庫から出版されている。
101点にものぼる彼の撮った写真と手記は明治後期の日本の姿を克明に捉えていて、現代の日本人にも必見の書である。 なによりも、彼の手記は日本の文化や工芸、美術に真摯な目を向け、正しく理解しようとする態度が文章の端々から読み取れる。 さらに、富士山、阿蘇、浅間山登山や保津川渓谷下りなど、冒険譚としても面白く読める。

なお、明治期に日本を訪れて紀行文を残した外国人はあまたいるが、中でもとりわけ面白い紀行書と言えばイザベラ・バードの日本紀行だ。原題はUnbeaten Tracks in Japan, 「人跡未踏の日本で 」とでも訳せるだろうか。彼女はポンティングよりも20年以上前の開国間もない日本を旅し、その途上の折々に英国の妹あてに出した書簡をまとめ紀行文として出版した。
伊藤という従者一人を伴い、東北をめぐり蝦夷地(北海道)にまで足をのばす。
東京を発ち、千住、春日部と経て栃木に泊る。栃木の宿では、初めての外国人女性を見たさに、障子に無数の穴が開けられ、そして覗かれる。プライバシーの無さを嘆き、宿屋で開かれていた宴会のどんちゃん騒ぎに辟易するくだりは面白い。日光に着き、金谷邸(現日光金谷ホテルの前身)に逗留、プライバシーが保たれる環境や、金谷邸の主をはじめとする人々の温かい接遇、日光の自然などに触れ、気持が癒されてゆく様子がつづられている。 写真集ではないが、明治初期の日本、当時未開にも等しい東北の様子や風景などの細かい描写と、バード自信が描いた多くの挿画とともに興味が尽きない。ポンティングの紀行書と併せて一読をお勧めする。

撮影データ
カメラ:Panasonic DMC-GX7
レンズ:Olympus M. Zuiko Digital 12mm F2.0 Limited Black
Exif Data:シャッタースピード 1/60
              絞り          f/10 (Aperture Priority Mode)
              露出補正              無し
       ISO-1600             ISO auto mode
              焦点距離              12mm
              測光モード      Centre weighted       


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